色あせた古い本に絵筆をすべらせて。


3月、イタリアのロックダウンはいきなりやってきました。


7日に北イタリアが閉鎖になって、故郷に逃げるため、学生らが慌ててミラノ駅に殺到した様子をテレビで見たときは、まだまだ他人事だったのに、あれよあれよという間にコンテ首相の会見が始まって、その2日後にはイタリア全土が閉まっちゃった。


え〜まじい?

って感じでした。


でもいずれ近いうちにそうなる予感はしていたので、食糧やトイレットペーパーは多めに買っておいたので、スーパーに買い溜めに走るというようなことはしなくてすみました。


それからしばらくは、ニュースばかりを追う毎日。

知らないと納得できなくて、とにかく理由を知りたくて、インターネットで原因追及に明け暮れる日々。


やがて、北イタリアの悲しいニュースばっかり追っているのに疲れ果て…

BASTA! もう十分!このままじゃダメだ!


とりあえず何かをしようと考えて、まず始めたのが大掃除、整理整頓、断捨離。

キッチン、バスルーム、そして子供部屋。

着そうもない服、使いそうもない食器、整理しようと思ってなかなかできなかった過去のモノたちの大整理。


あの頃って、きっとイタリア中の主婦が、家中をピカピカにしていたのかもしれませんね。 笑


そんなふうに大掃除している間に、出てきたのが古い本たち。

数年前、娘のアレルギーがひどくなったときに、”本棚は大敵”と言われ、読まない本はずいぶん処分したと思ってたけど、やっぱりまだ出てくる。


そして、そのうちの一冊に目が止まりました。

ああ、この本、子供向けのファンタジーだけど、イタリア語を勉強するのにいいなあと思って買ったんだっけ。


懐かしく思いながらページをペラペラめくってみたけれど、もう四隅がすっかり黄ばんじゃってる。

仕方ない、もう捨てようかと思ったのですが、その黄ばんだ色合いがすごくいい感じで。

なんかイタズラ描きしたくなっちゃって……でも本に落書きなんて、作家さんに申し訳ないかも?


でも……ハマりました〜  笑


どうせイタズラ書きだから背負うことなく、下書きもせず、いきなりペンを滑らせて、色鉛筆で着色して、それが返っていい感じ?

おもしろくって、1枚、2枚…と筆が進んで。


フェイスブックに作品を載せたら、欲しいと行ってくださる方もいて。

色あせて黄ばんだ本のページがこうやって蘇ったのなら、作家さんも許してくださるかな?

Natsuki Suzuki's Illustrations

ローマ近郊の街オスティアで絵を描く日々。イタリア各地の風景画を中心に、旅のスケッチ、ナイーフ画、ハンドメイド作品などを紹介しています。日々の様子はアメブロで。よろしかったらご覧ください。

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