小さな小さなゴーストタウン チェッレーノ
オスティアからの日帰りツーリング
バイカーの夫は、よく友人らとツーリングに出かけます。
時々私も参加するのですが、そういう時は、ただひたすらガンガン走るだけのツーリングはやめていただいて、無理なく楽しい観光プランを立ててもらいます。
で、行ってきたのはチェッレーノという小さな街。
街っていうか、ここは現在もう誰も住んでいない廃墟の街で、イタリア語ではborgo fantasma(ボルゴ・ファンタズマ)とかcittà di fantasma(チッタ・ディ・ファンタズマ)とか呼ばれます。
直訳すれば『幽霊の街』という意味で、つまりはゴーストタウンなんですが、ファンタズマという言葉が、感覚的には「え?お化けが住んでるの?」って思えちゃう。
そういう街が、イタリアには結構あって、近年の再開発プロジェクトによって蘇っています。
最も有名なところでは、この近くにあるチビタ・ディ・バニョレージョ。
私も昔出版した本『イタリア・小さな街物語』で紹介したことがありまが、Tufoと呼ばれる凝灰岩の上の陸の孤島、まるで『天空の城ラピュタ』みたいな感じで、初めて見た時はそりゃあ感激しましたよ〜。
もう20年も昔の話ですが。汗
それと同じような街が他にもあると夫がいうので、行ってまいりました。
バイクで走ること2時間あまり。
左手遠方のこんもりした丘に、モンテフィアスコーネの大きなクーポラが見えてくるともう近い。
到着!
架け橋のような坂道の向こうに街が見える。
坂の途中、周りに広がる緑。
小さな門を潜って‥‥
左には、??? 何だこれ?『angolo del bacio』キスの角っこ?
さあここで、キスの記念撮影をどうぞ!ってことかしらん?
広場ではヴィンテージバイクの展示会がありました。
四角い塔は、サン・ドナート教会の塔。1200年代に造られ始めた古代ロマネスク様式で、その後増築。
現在は、屋根や後方の壁はすっかり崩れ落ちてしまっています。
広場には、16世紀のオルシーニ家の城もあります。(写真取り忘れ!)
そして、小さなサン・カルロ教会の壁には、何かが付いてる!
きっと再開発プロジェクトでの一つで、アーティストによる展示会の名残かな?
サン・ドナート教会の壁に沿って1本のびる路地をいくと、街は早くもそこで終わり、パッと視界が開けて、そこにもアーティスティックな作品がポツリポツリと。
これってまさに『天空の城ラピュタ』のロボットですよね! 笑
たったこれだけの小さな小さな幽霊の街ですが、はるか昔の遠き日に思いをはせるには十分です。
この後は、ボルセーナ湖まで足を伸ばし、湖畔のバールでビールとランチ。
まだまだ夏の日差しが強い9月の日曜日のことでした。
追伸
この街にはもう一つの名称があって、それはなんともかわいい『さくらんぼの街』というもの。
毎年6月第2週の土日に『さくらんぼ祭り』があるらしいです。
雑学
Borgo Fantasma Celleno
考古学的にはエトルリア起源の街。
その後ローマ人vsエトルリア人、グエルフvsギベリン、オルヴィエートvsビテルボ
の紛争に巻き込まれ、壊滅的だったのは、チフスの流行(うわ。これってつまりパンデミック?)と、17世紀終わり及19世紀半ばの地震。
最終的には1931年の地震で、事実上廃墟の町となる。
近くに新しい街を建設し、住民はそこへ移住。
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